その2 開業届出書の書き方

開業届を出す

①「個人事業の開業・廃業等届出書」(いわゆる開業届)

独立開業して、まじめに稼いでいこうという人は届出をしたほうがよいでしょう。そのほうが、②以降の届け出によって得られる様々な特典を得られるというメリットがあるからです。

ですが、引退モードで形の上だけ事務所を設立するに過ぎず事業所得を得る予定がないとか、他の企業の社外役員としての報酬(=税務上は給与所得になります。)を得るだけで、事務所としての顧問報酬を得る予定がない、といったような場合には、税務上の特典はそもそも不要なので、この開業届も不要です。

ちなみに公認会計士の場合は、公認会計士を名乗るにはいずれかの監査法人又は会計事務所に所属していなければならず、一般企業に常勤で就職するような場合でも、日本公認会計士協会に対しては開業届を出しますが、実質的には個人事業を行う訳ではないので、税務署への開業届は行いません。

開業届の提出期限

ところで、開業届の提出期限は、開業後1か月以内とされています。遅れても受理はしてくれるそうですが、早く特典を受けるためには遅滞なく提出したほうが良いですし、そもそも年を跨いでしまうとその年の確定申告に支障が出ますのでご注意ください。

届出書の書き方は専門書やネットに転がっていますので、そちらを参考にしていただければ結構ですが、士業に特有な点を記しておきます。

開業届の書き方

納税地:自宅で開業する場合には選択の余地はありませんが、別途事務所を構える場合には、「納税地」は自宅住所、「上記以外の住所地・事業所等」をその事務所にします。公認会計士の場合はウィワークでもバーチャルオフィスでも何でも大丈夫ですが、士業によっては物理的な専有スペースが求められる場合もあるようです。

 

屋号:公認会計士の場合は日本公認会計士協会での届け出要件で決まっているので、あまり選択の余地はありません。士業の場合は大体そうでしょう。

職業、事業の概要:士業の場合は、シンプルに「○○士業務」と書けば十分です。

 

給与等の支払いの状況:後述の③「青色事業専従者給与に関する届出書」を出す場合には人数、給与の定め方(月給、賞与等)、税額の有無(原則「有」)などを記載しましょう。初めから使用人を雇う場合にはこちらも記載しますが、そのような状況になってから後日「給与支払事務所等の開設・廃止・移転の届出」を出せはOKです。