その6 ストックオプションは誰に付与する?

付与割合は10%程度までに

ストックオプションの付与対象は、これまでの会社への貢献度、これから将来にわたっての期待度などから選定します。古参の役員や、創業当初から安月給で一緒に働いてくれた従業員などは第一候補でしょう。新株予約権は、発行済み株式数の10%程度までに抑えるのが健全とされていますので、その範囲内で有効活用したいものです。広く従業員にばらまくのは限度がありますので、役職、勤続年数などを基準に、不公平のないように付与することが大切です。

 

優秀な人材のつなぎ止めに

また、ベンチャー企業では十分な役員報酬や給与が払えないことも多いので、優秀な人材をつなぎとめるために、ストックオプションを活用するのもよいでしょう。いずれにしても資本政策全体でバランスの取れた方針をとりたいものです。

 

監査役への付与はOKか?

監査役や社外取締役へのストックオプション付与については賛否がありますが、私は付与OK論者です。監査役や社外取締役の目的は取締役の職務執行を監督することを通じて、会社の事業価値を極大化することです。執行取締役に対して意見することの意味は、会社に損害を与えることを未然に防ぐことであって、職務執行を妨害することではありません。その意味では、監査役や社外取締役にも、インセンティブとしてのストックオプションは付与してしかるべきです。

 リンク:社外役員の待遇は?

 

とくに、未上場のベンチャー企業では、十分な役員報酬を支払えないこともしばしばです。そこで、優秀な役員招聘のために、ストックオプションによる報酬の補完は重要なことだと思います。主幹事証券会社によっては、このようなストックオプションを嫌うケースもありますが、私にはその趣旨はよくわかりません。

 

ちなみに、監査役に対しては税制適格ストックオプションは使えないので、取締役に対して有償ストックオプションを発行する機会があれば一緒に割当てるのがお薦めです。