その2 中計の開示

事業計画は重要な審査対象

事業計画は、証券会社や証券取引所による上場審査において、提出し説明されるものになります。一般公衆に開示するかどうかはグロース市場を除き任意で、上場会社の中にも中期経営計画を開示している企業はありますが、いったん開示すると継続的に開示を続けなければならず、中長期の業績を約束するかのような誤解が生じる場合があるので、開示内容は慎重に練った方が良いでしょう。

 

市場再編に伴い中期計画が開示義務に?

グロース市場においては、従来のマザーズ市場の規則を引継ぎ、「事業計画及び成長可能性に関する事項」という資料の開示が求められています。中期経営計画を開示してしまうことについては様々な議論が行われたようですが、結局、中期経営計画の会計的財務数値についての開示は任意となりました。ただし、非開示の場合にはこれに代わる非財務数値(KPI)の開示を行うことになっています。

 

事業計画書のストーリー

事業計画書に説得力を持たせるためには事業計画のストーリーも大切です。企業の経営理念が前提としてあり、市場の環境分析や自社の強み弱みといった分析、そして過去から現在までのトレンドの上で将来の計画が詳細な積み上げとして存在していること、そして財務数値に関連付けられるKPIが合理的に整合していることなどが必要になってきます。そのため、外部から入手した客観的なデータや図表などによる説明も必要になってくるでしょうし、計画書全体の起承転結にも気を遣うべきです。

 

決議機関と決定時期

事業計画の決定機関は、通常取締役会です。これは監査等委員会設置会社などで取締役の権限を下位委譲したとしても、法的に必須となっている取締役会決議事項から外すことはできません。具体的な計画の策定にあたっては、経営企画担当部署での原案策定を経て、経営会議等での協議が必要ですが、営業部門や経理部門との共同作業となってきますし、社長の深い関与も重要になってくるでしょう。