その3 いよいよ審査に提出

証券会社審査部への提出

上場申請期に入り上場直前期の決算内容も確定すると、数値をアップデートしたⅠの部を再作成します。このⅠの部が証券会社の上場審査部に提出するバージョンになります。ここから完全戦闘モードに入ります。審査部からの怒涛のような質問事項に回答しつつ、Ⅰの部の内容も洗練されていきます。ここで更に揉まれて(揉みくちゃにされて)いくわけですが、決して意固地になる必要はありません。

Ⅰの部におかしなところがあれば、堂々と修正していきましょう。証券審査部としては、審査部内の最終審査に通るように、そして東証の審査に通るように揉んでいるのです。

 リンク:証券審査が必要なワケ

もちろん単純なミスやいい加減な記載が多発するようですと、本気度を疑われますので、そういう記載ははじめから避けてください。

 

社長のレビューも入れよう

このあたりのタイミングで上場準備にあたってきたスタッフに加えて、社長のレビューも入ることが多いです。理想的には早い段階から社長にも関与してもらうことがいいのですが、なかなか本腰が入らなかったり、証券審査の過程で記載内容がかなり変わってしまったりするので、最終的なチェックも必要です。

 

特に社長のレビューを期待するのが、事業内容の説明や経営理念の記載、リスク情報といったところです。これらは上場審査における社長ヒアリングにおいても必ず話題になりますから、経営者の思いがしっかりとⅠの部の中に反映されていることが必要です。すり合わせが不十分だと、ここで社長がこの記載内容は自分の思いと違う!などと言い出してしまったり、最悪のケースでは、社長ヒアリングの場でⅠの部の記載とは正反対の発言をしてしまうなどという悲劇も生まれたりします。

 

ようやく東証審査部へ提出

このようにいくつものブラッシュアップを通じて、ようやく東証審査に提出することになりますが、東証に提出すればひと安心かと思いきや、正式に出すと言いながら、Ⅰの部はまだ完成していません。東証の審査でもまた揉まれるのです。

 リンク:証券取引所による審査

 

最終的なⅠの部は、上場承認日の日付で発行されます。これは東証のホームページ等から公開もされますので、全ての要修正事項が反映されていなければなりません。東証の指摘をよく理解し、証券印刷会社との連携も円滑に行いましょう。