その13 行使した株式の売却方法

行使が完了すればいつでも売却できる

ストックオプションが行使されれば、現物の株式を保有しますので、あとはじっくりと長期保有するもよし、相場の状況を見ながら売却するのもよし、自由です。ただし、インサイダー取引にはならないように気を付けてください。

 

税制適格ストックオプションは特別な区分管理が必要

税制適格オプションは、ストックオプションを行使した時点では課税関係が生じず、売却した時にはじめて譲渡所得としての課税が生じるものですから、普通に取得した株式とは区別して厳格な管理が必要になります。

そのため特定の金融機関(主幹事証券会社であることが多い)に専用の口座を開設し、その口座の中で行使と売却を行うことになります。

 

好きな証券会社への移管は可能か?

ストックオプションの権利を持つ役職員の中には、自分が普段使っているネット証券会社などで売却取引をしたいと考える人もいるでしょう。使い慣れているとか、手数料が安いとか、様々な理由があるかもしれません。

 

その場合には専用口座を開いている金融機関の口座から自分のネット証券の口座へ証券を移管することになります。ただしあくまでも行使後の移管であって、行使する前に移管することはできません。

 

みなし譲渡の扱いになる

通常の株式の移管の場合には移管手数料を移管元に支払うだけで、原則として自由に証券を移動させることができます。証券会社によっては、移管手数料をあとから補填してくれるキャンペーンを行っているところもあります。

 

しかし税制適格ストックオプションの場合には、その株式が特別の区分管理から外れることになるので、一旦その株式を売却してから新しい口座に移す、つまりみなし譲渡の考えが適用されます。そうすると、移管の時点で課税関係が生じ、売却収入がないにもかかわらず、その時の時価との差額に税金がかかってしまいます。

 

結果的にその後市場で売却するのであれば、売却が2回に分かれるだけであって通算すれば同じ話ですが、留意点とすれば、移管と売却との間に年度またぎがあると課税期間が泣き別れてしまい、税金の一部が先払いになりますので注意が必要です。