その3 東証の市場再編

3つの市場に組み替え

2022年4月から東証の市場区分が変わりました。これまでの第一部、第二部、マザーズ、JASDAQを、スタンダード、プライム、グロースの3つに再編成したのです。

 

全上場会社3,756社のうち一部上場の会社が2,186社(2020年末当時)と非常に偏りが多かったことから、ここ数年叫ばれ続けてきた再編になります。再編の目的を果たすため、これまでの第一部のステータスを大幅に向上させ、社数も絞る方針です。

 

その代わり、スタンダードと呼ばれる市場を、文字通り標準市場と位置付け、基本はこのスタンダード、特に優良な企業のみプライム、そして成長過程にある企業がグロースという位置づけを目指しています。

 

プライムのハードルは高い

そのため、プライム市場のハードルが非常に高く設定されており、時価総額、流通時価総額、業績、株主数、コーポレートガバナンス・コードへの遵守など、非常に厳しい基準が示されています。再編時点で一部上場の企業は、経過措置として一旦プライム市場に登録することができますが、一定の期間経過後に改めて判定が行われますので、それまでに改めて基準を満たさない限り、スタンダード市場に変更又は上場廃止になります。

 

マザーズからのステップアップ特例がなくなる

マザーズに上場していた新興企業にとって大きく変わるのが、これまで優遇されていたマザーズから東証一部へのステップアップ上場です。

たとえば、通常一部上場の基準では、250億円以上の時価総額が求められますが、これを40億円以上の時価総額に緩和していました。そのため、マザーズに新規上場した会社は、翌年にすぐ一部に鞍替えなどということが頻発していました。

しかし、今後はステップアップ上場という概念自体がなくなりますので、改めて250億円以上の時価総額を含む新規の上場基準に照らして、上場審査を受けなければなりません。

 

既上場会社の移行先は?

従来マザーズやJASDAQグロース市場に上場していた企業は、形式基準を満たしている限り、そのまま新グロース市場に上場することができます。同様に、市場第二部とJASDAQスタンダードに上場している企業は、新スタンダード市場に上場することになります。

それ以外の市場への上場を希望する場合、すなわちマザーズ上場の会社がプライム市場やスタンダード市場、あるいは一部上場の会社がスタンダード市場へ移行を希望する場合には、改めて上場審査を受ける決まりになっています。

 

新興企業の新規上場先はどこにする?

そのため、市場再編の直前である2000年後半~2021年においては、新興企業が新規に上場を行う場合、マザーズを目指すのか、JASDAQスタンダードを目指すのかにより、再編後の市場がグロースになるかスタンダードになるか分かれることになり、市場の選択に新たな悩み事が加わっていました。2022年に入ってからは、もう選択の余地はなく、新市場での枠組みで検討することになります。

 

スタンダード市場のステータス如何か

この点、スタンダード市場の位置づけが、文字通り標準という位置づけになるのか、それとも今までの第二部のような2軍チームの扱いになるのかによって、選択も分かれてくるのでしょう。

標準と言いながら、第1部になれなかった惜しい会社と、ここ数年にJASDAQに上場した成長過程の元気な会社、そして長年第2部やJASDAQに滞留しているゾンビ会社が入り乱れた市場になってしまうと、そのステータスも怪しいものです。

 

最終的にプライム市場を目指すのか、スタンダードで良いのか

従来は、TOPIX銘柄は全て第一部で、機関投資家や外国人投資家の投資対象も第一部が中心でしたが、今後はスタンダード市場にも投資対象範囲が広がってくることが予想されます。したがって、プライム市場は無理でもスタンダード市場に行っておこうというのはひとつの選択肢です。

いっぽう、将来的にプライム市場を目指すのであれば、スタンダード市場から目指すのもグロース市場から目指すのも、改めて上場審査が必要な面において差はありません(プライム上場のためにはスタンダード市場を経由しなければならない訳ではありません。)。スタンダード市場とグロース市場の違いはコーポレートガバナンス・コードをはじめとする規則の多寡にあります。そのような様々な点を理解して、上場する市場を選択する必要があります。