その2 上場すべきかどうかの判断

上場すべきかどうかの判断

上場すべきかどうかの判断においては、これらの効果の中から、何を得たいのかをはっきりさせることです。上場すること自体が目的なら、純粋にそれだけを目指せばよいですが、創業者の夢と希望だけで会社全体が振り回されるのはいかがなものでしょう。

信用力を付けて、さらに会社を大きくしよう、ということであれば、是非上場を目指してもらいたいものです。もっとも、上場すれば信用力は付きますが、逆に言えば、上場しなければ得られないかというと、そうではありません。

非上場会社であっても絶大な信用力をもって、多くの資金を調達しているような会社はあります。それができるならわざわざ上場などしなくてもいいわけですが、やはり長年にわたる歴史や代々の経営者の大変な努力を考えれば、上場の方が早道だということはあるでしょう。

 

デメリットはコスト増と株主対策

上場のデメリットとしては、今までオーナー経営者が思いのまま経営していたものが、会社が公器になることによって、身動きが取りづらくなり、追加でやらなければならないことが増えてしまうということです。

具体的には、株主総会をはじめとする様々な株主対応事務の負担が増えます。また適時開示をはじめとするディスクロージャーへの対応が必要になります。

社会的な存在となることによるコンプライアンス対応やその他様々な事務量が増えるため、人員増強に伴う人件費やIT投資などもかさみます。

ほかにも、株式の流動性が増すことの裏返しで、株式が思わぬ先に買い占められるというリスクもあります。

 

デメリットをコストと考えるか制約と考えるか

会社の信用力が増すからこそ株式市場から資金調達が可能になるわけで、それが上場の最大のメリットというお話をしました。

銀行から融資を受ける場合に、そのお金を何に使うのか、どうして返済することが可能なのかといったことを銀行に対して細かく説明するかと思います。同じように、株式市場からの資金調達においても、説明責任が生じます。この説明責任を果たすためのコストが、適時なディスクロージャーであり、毎年の会計監査であり、強固なガバナンス体制の構築です。

これを息苦しい制約だと捉えるのか、信用力というメリットを享受するためのコストだと考えるのかで、この説明責任の必要性が理解でき、メリットとデメリットの比較による上場の損得感も納得できるのではないでしょうか。