その5 身内へのインセンティブ

創業者利潤の確保

上場時に、会社への資金調達と併せ、既存株主の株式を売り出すことで、彼らへのキャピタルゲインを与えることができます。オーナー系企業であれば、創業者社長の創業者利潤は大変大きなものになります。

上場のタイミングでは個人的な資金需要がない場合もありますし、上場後の方が株価が高くなっている自信があれば、上場後しばらく経ってから株式を売却したいと考える経営者も多いかもしれません。

しかし、通常は上場後一定期間は株式を売却しないというロックアップを掛けるので、最大半年程度は売却ができません。また、それ以降も、株主たる社長が保有株式を売却することは、インサイダー規制上非常に厳しい制約がありますし、まとまった売却は株価の下落要因にもなります。そのため、なるべく上場の際に売出しを行った方が良い場合が多いです。

 

役職員へのインセンティブプラン

非上場の間では高額な報酬や給与は難しいため持株会やストックオプションの形でインセンティブを与えることが多いです。このようなインセンティブプランも資本政策の中に適切に織り込み、株主構成にどのような影響を与えるかあらかじめ検討しておくことが必要です。

特に、ストックオプションなどの新株予約権は、発行済株式の希薄化要因となるため、通常は全体の10%程度までの発行に留めるのが望ましいとされています。

 

インセンティブプランは上場後も続く

役職員へのインセンティブプランは上場後も継続します。

まず、従業員持株会を創設した場合には当然上場後も継続しますので、従業員から集めた資金が1単元以上になる都度機械的に購入していきます。購入時の報奨金制度を設けるなど促進策をとることで、安定株主対策にもなります。

ストックオプションについては、上場後の発行も可能です。発行時の株価が高くなっていますので、上場前の発行ほどのダイナミックなインパクトはありませんが、それでも有利に取得できることに変わりはありませんので、積極的に付与している企業もあります。また、類似の制度として、RS(譲渡制限付株式報酬)を発行し、役職員報酬の上乗せを図るケースも増えてきています。

ストックオプションの詳細については、こちらをご覧ください。