その5 内部管理体制の整備

管理体制整備

次は管理体制の整備に関してです。大きく3つの局面に整理してみました。

①組織と内部統制の整備

②ガバナンス体制の構築

③利益管理体制の構築 の3つです。

順に見ていきましょう。

 

組織と内部統制の整備

社内諸規程やマニュアルなどの整備、会社の組織や管理体制の構築、必要な人材の確保、そして JーSOXに関する文書化、内部監査の整備運用といったようなものがあるでしょう。

会社の組織図くらいはどの会社にもあると思いますが、内部統制を意識したものにはなっていないかもしれません。取締役会が社長の指揮下に入ってしまっていたり、営業部長と総務部長が兼務してしまっていたりなんてことは結構あります。

また非上場のうちは必要のなかった内部監査部門を新設したり、一体となっていた管理部門を総務と経理に分掌したり等、見直しは尽きません。ポストが増えれば管理者も確保しなければなりません。もちろんハンコをつくことが仕事ではないので、役に立つ人材が必要です。

社内規程もひととおり揃えます。コンサルティング会社に頼めばいくらでもひな形や他社事例は入手できますが、ひな形ベースでは会社の実情にそぐわないものが出来上がりがちなので十分に注意してください。特に販売管理規程や購買管理規程等、実務に関する規程は、ひな形からではなく、実際の業務フローから書き起こしていくことをお奨めします。

 

ガバナンス体制の構築

役員(特に社外役員)の確保が悩みどころです。ハローワークで募集するようなものではありませんので、様々な人脈とサポーターのネットワークをフル活用して良い方を招聘しましょう。

社外役員に関しては、こちらの記事もご覧ください。

 IPO ー社外役員

取締役会もきちっとした形では運営されてこなかったことも多いかと思いますが、会社法に則し遺漏なく運営し、議事録もしっかりと残す必要があります。監査役も会社法に則した監査のやり方には慣れていないケースも多いと思いますので、ひとつひとつ経験を積んでいきましょう。

 

利益管理体制の構築

上場にあたって、将来の利益計画を立てるということは大変重要です。なぜならば投資家からお金を集めて、それをどう活用して企業価値を上げていくのかということを、投資家に約束しなければならないからです。また経営理念や経営目標といった大きな視点での会社の「パーパス」作りも重要です。

そのパーパスを実現してくことこそが、会社の成長ストーリーになっていることが大切です。

中期経営計画に関しては、こちらの記事もご覧ください。

 IPO ー上場のための中期経営計画

 

ベストプラクティスとマストプラクティスを混同しない

たとえば、会社の内部管理体制の一つとして稟議制度というものがありますね。IPO の教科書にも稟議制度の導入は原則必須項目として語られていることが多いと思います。しかしその本質は、稟議書を順番に回付して押印する行為のことではなく、社長の独断ではなく、組織的かつ機動的に複数の目による事前の決裁が行える体制になっているか、ということです。

それを解決するベストプラクティスの一つが稟議制度だということで、実際多くの会社で導入されているものですが、会社によっては毎朝幹部職員が集まって会議を開いているので、わざわざ紙で稟議書を回付する必要がないんだと言えばそれで結構ですし、稟議に付議する内容を合理的な理由をもって設定できるのであればそれでも良いのです。

何でもかんでも稟議に回せば、審査上の説明は楽かもしれませんが、会社の実情には合っていないかもしれません。

コーポレートガバナンス・コードも同様ですが、法律上の規定や達成すべき要件はマストであっても、その手段は唯一ではありません。上場がゴールなら、審査に通りやすいよう、何でもかんでも教科書通りに揃えればいいですが、その先の会社の成長に主眼を置くなら、ひとつひとつ冷静に判断しながら整備を進めましょう。