その4 株主総会の運用

株主総会の議決権行使

計算書類の承認や役員の選任などお馴染みの項目は勿論、上場準備の期間中には、定款の変更、資本政策関連事項(新株発行やストックオプション等)、会社機関の設置など、決めなければならないことがたくさんあります。

株主総会の事前の議決権行使方法には、二つのやり方があります。一つは議決権行使書方式といって、通常上場会社において採用されている方法です。もう一つは委任状方式といって、未上場の会社の多くで採用されているものになります。議決権行使書方式は、実際に株主総会に出席した時と同じように、一つ一つの議案に対して賛否を投票することのできる制度です。株主数が1,000人以上になった場合には採用が義務付けられますが、それ以下でも任意採用は可能です。一方、委任状方式は代理人による出席に準じて、一括して賛否を委任する形式をいいます。上場準備の段階では、あえて議決権行使書方式を採用せず、委任状方式によることで構いません。

 

株主総会の招集通知

株主総会の招集通知は株主総会の2週間前までに発送しなければなりません。譲渡制限がついていた時には、株主は身内に限られることが推定されていたので、一週間前までで良かったのですが、不特定株主の数が増える前提では、2週間前までとなっています。

2週間の数え方には民法の規定が適用されますが、万全を期すために証券会社や信託銀行に相談しながら計画的に行うのが良いでしょう。

 

はじめての株主総会はドキドキ

未上場の間は、株主総会は顔の知れた身内の人間だけで行われてきたことが多かったかもしれませんが、上場後は多くの投資家に出席する権利が与えられていますので、議長である社長にとっては大変緊張する場面です。

なお、一般の株主が参加するのは通常は上場後初めての株主総会からになりますが、期越え上場などイレギュラーな日程の場合には2回目以降になることもあります。

決議の方法など詳細については会社法の専門書に譲りましょう。