その2 会社を成長させるガバナンスとは

アメリカ大統領だって正にそう

政治の世界でもよくあることです。例えばアメリカ大統領が新しく就任すると、その側近を丸ごと入れ替えて、自分の考えに賛同するメンバーだけにしますよね。

その上で前任者がやってきたことをひっくり返してでも、グイグイと自分の考えを推進します。その代わり全国民の目にさらされているわけですから、任期が終わればその後の身分は全く保証されていません。

周りをイエスマンだけに固めることは、決して悪いことではなく、そこに監視の目がなくなり長期政権になってしまうことがいけないだけです。

 

会社経営者だって同じ

同じように会社の経営者も、こいつに任せようという人物であればその社長に思う存分暴れてもらうべきです。

細かいことは経営会議などに任せ、本当に大局的かつ基本的なことだけを取締役会で決議する形に改め、あとは全速力で駆け抜けて行ってもらいます。

その代わり、1年経って、もし結果が出ていなければクビにするぞ、これでいいわけです。上場を目指すようなベンチャー企業のほとんどは、社長のキャラクターで会社を成長させているはずです。そのような会社こそ、現代風のコーポレートガバナンスの考え方をふんだんに取り入れた体制にすべきです。

 

会社法の考え方

現在の会社法においてこの考え方に最も合致しているのが委員会設置会社です。特に指名委員会等設置会社は、とりわけ経営者が存分に力を発揮するにふさわしい体制と言えます。しかし指名委員会等設置会社は、社外役員の人数要件など小規模の会社にとってはコスト的に見合わない面もあるので、実際に採用しているのは大規模な上場会社の一部にとどまっています。

そこで脚光を浴びるのが、折衷案ともいえる監査等委員会設置会社です。これはモニタリング型ガバナンスとマネジメント型ガバナンスの良い所を残しつつ、柔軟な組織設計ができるメリットを持った仕組みになっています。

モニタリング型に寄せようと思えば 経営執行と監督の機能を大きく分類することができますし、従来のマネジメント型のガバナンス体制に近い状態から徐々に移行させていくというようなやり方も可能です。