その3 消費税が還付されるのはどんなケースか

納付ポジションと還付ポジション

前述のように、売上税よりも仕入税の方が多いケースが還付ポジションです。多額の固定資産を購入したような年度は該当することが多いです。固定資産の購入がなくても、経常的な経費が売上よりも多い「赤字」の状態であれば、同様に還付に該当することが多いです。

とはいえ、恒常的に赤字が続くような事務所では事業が成り立たないので、ずっと還付ポジションはあり得ないのでは? と思うかもしれません。

たしかに、事務所の事業を拡大してガンガン稼いでいこう、という事務所は早々に納税ポジションになります。しかしいっぽうで、事務所事業の方はそこそこにして、それ以外の収入、たとえば他の企業からの給与所得(役員報酬を含む)をメインにして稼いでいこう、というようなケースなら、事務所の方は恒常的に赤字、ということは十分にあり得ます。

 

インボイス制度への申請と同時に課税事業者になる

インボイス制度が始まるのは2023年の10月1日からです。従って現在の免税事業者が素直に申請すれば、2023年の10月から適格請求書発行事業者になると同時に課税事業者になる。つまり、2023年の10月から12月までの3ヶ月について、消費税の確定申告義務が発生することになります。

 

還付が期待されるなら年始から課税事業者になってしまおう

もしも来年(2023年)一年間の消費税のシュミレーションを行った結果、1年分を確定申告した方が還付額が多くなると予想されるならば、インボイス制度への申請に先立って、2023年1月1日に間に合うように課税事業者の選択申請をしておくことが賢明です。

 

課税事業者になるには

課税事業者を選択するには「消費税課税事業者選択届出書」という A4用紙1枚を税務署に提出する必要があります。国税局のホームページに用紙が掲載されていますのでこちらに記載のうえ所轄の税務署に持参又は郵送します。

国税庁  消費税課税事業者選択届出書

e-Taxソフト(DL版)を利用すれば、リモートでの提出も可能です。ただし、簡易型のe-Taxソフト(WEB版)からは提出できませんのでご注意ください。

ちなみに、この届出書をe-Taxソフトで提出すると、受信通知は来ますが、受理されたかどうかの通知は特にありません。税務署からの特段の通知がなければ受理されたと思ってよいでしょう。そのあたりが心配な方は紙に書いて持参しましょう。

 

なお、選択届出書の書き方についてはこちらのサイトが参考になります。

freee 消費税課税事業者選択届出書の書き方

 

インボイス制度を適用した場合の追加作業

インボイス制度を適用した場合の追加の義務はどの程度大変なのでしょうか。まず、適格請求書というものを発行する必要があります。適格請求書の要件はこちらのサイトを参考にしてください。

国税庁 インボイス制度の概要

 

いろいろ要件は書いてありますが、小売業や商社ではないので、そう頻繁に請求書を発行することもないでしょうから、一度テンプレートを作っておけば、さほど負担が増すということもないでしょう。

 

会計帳簿は税抜き処理で

次に帳簿管理です。今までは免税業者でしたから消費税のことは気にせず、税込みの金額で記帳を行っていたのではないでしょうか。今後は消費税部分を本体価格と区分し、仮払消費税や仮受消費税といった勘定科目を使って記帳する必要があります。ほとんどの会計ソフトはこのような税抜き記帳に対応しているはずなので、改めてソフトを買い換える必要はないでしょう。また、小規模な事務所であれば Excel等を利用した記帳でも全く問題はありません。

そして確定申告です。消費税の確定申告は、事業年度が終わった2ヶ月以内に、年に1度行う必要があります。所得税の確定申告に比べればはるかに簡単なものです。わざわざ申告書作成ソフトなどを購入しなくても、e-Tax ソフトや国税庁ウェブサイトの確定申告作成コーナーで容易に作成可能です。

このような追加で増える労力と金額的な損得感を比較し、そしてお客様との関係を揉みながらインボイス制度への適用可否を検討してみましょう。

 

インボイス制度の申請はWebから

インボイス制度の申請はWebから行うのがおすすめです。国税庁のサイトにe-Taxソフト(WEB版)を利用した申請方法が懇切丁寧に記載されていますので、ここでの細かい説明は省略します。このほか、e-Taxソフト(DL版)や、スマホ版(SP版)からも手続き可能です。

適格請求書発行事業者の登録申請データ作成マニュアル

基本的には指示通りに入力していけばOKですが、開始日ついて補足しておきます。指示に逆らうことなく淡々と入力していくと、2023年10月1日から課税事業者と適格請求書発行事業者に同時になりますので、2023年は10月から12月までの消費税を申告します。もし、前述のとおり、1年分の消費税還付が期待できるとして2023年1月1日から課税事業者になった場合には、適格請求書発行事業者としては10月1日からですが、消費税の申告は1月1日からということになります。