その1 創業者持分の保全

新規上場会社の44%が資産管理会社を利用

IPO にあたって、創業者(オーナー)が資産管理会社を作り、そこに自ら保有する株式の一部を移動させて上場するという話を耳にします。2021年の例を見ますと、全新規上場会社のうちの40%超にあたる55社が資産管理会社を作って新規上場しました。はたしてこの資産管理会社、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 

資産管理会社とは何か

資産管理会社は、不動産や株式などの資産を多く所有している、いわゆる富裕層の人が、その所有する資産を管理することのみを目的として設立する法人のことをいいます。

簡単に言うと、今まで個人名義で所有していた不動産や株式を資産管理会社に移して(譲渡して)、法人名義の所有に替えるということです。

 

資産管理会社の収支は?

資産管理会社は資産管理専業の会社ですから、原則として資産管理以外の事業を行いません。収入源は、不動産の売買や賃貸に伴う賃料収入や売却収入、株式の売買や所有による配当収入や売却益です。

会社の設立やその維持には一定のコストがかかりますが、不動産を多く所有する地主や自社株式の評価額が高いオーナー経営者等にとっては、コストを超えるメリットを得ることができます。

 

なぜそんなことをするのか?

資産管理会社にはいくつかのメリットがあります。ひとつは税金面で有利になる点、もう一つは、オーナーに不幸があった場合の相続対策とその後の安定株主対策です。

このあたりを順番に見ていきましょう。