IPO -資本政策のきほん

その1 なぜ資本政策が必要なのか?
上場して IPO をするということは、会社を部分的に売却するということです。それによって、会社や既存株主に資金が入ることになりますが、同時に新しい株主の参加により株主構成が変化します。これらをバランスよく総合的に戦略的にプランニングするのが資本政策です。

その2 安定株主対策
よく証券会社からは「安定株主対策が重要です。社長は33%超の株式を保有し続けてください。」といわれますし、IPOの入門書にも必ずそう書いてあります。ですから、社長もその言葉を信じて疑いません。本当にそうなのでしょうか。

その3 従業員持株会
従業員持株会は、仕組みの設計いかんにより安定株主とも不安定株主ともなり得ます。従業員側の利便性も考慮してバランスよく設計したとして、平均的には上場後に半数くらいの従業員は持株会の株式を売却してしまうくらいに思っておいた方が良いでしょう。

その4 法人株主作り
得意先や仕入先など取引先企業や、顧問やコンサルタントなど会社の協力者も安定株主の候補です。特に関係会社に該当しない範囲(持株比率30%未満)で、大手企業が上位株主に入っていると、安心感もあって上場後の株価が安定しやすく、機関投資家も入りやすくなります。

その5 身内へのインセンティブ
上場時に、会社への資金調達と併せ、既存株主の株式を売り出すことで、彼らへのキャピタルゲインを与えることができます。オーナー系企業であれば、創業者社長の創業者利潤は大変大きなものになります。

その6 株式相場を意識した資本政策
上場には、一定の流動性すなわち売買が行われる余裕度の確保が求められます。上場するための形式基準が定められていますが、実際にはそれ以上の流動性がないと活発な売買が行われません。