IPO -証券取引所による審査

その1 上場申請に係る事前確認
上場申請の1週間前には、「事前確認」というものが行われます。これも主幹事証券会社側で行うものになります。事前確認においては、主幹事証券会社が行った審査結果が東証に対して説明されます。当たり前ですが、問題点は残存していないことが前提です。

その2 上場申請手続き
上場申請は会社側から社長上場申請の担当役員窓口となる担当者そして主幹事証券会社の担当者が出席して東証において行われます。もっとも、2020年以降のコロナ禍の状況では、電子提出等の方法により、東証には実際に出向かずにリモートに申請として行われることもあります。

その3 上場審査のスケジュール
上場審査にかかる期間は本則市場で3ヶ月、JASDAQやマザーズでは2ヶ月程度とされています。審査が終了してめでたく合格すれば上場承認となり、実際の上場はその1ヶ月後です。

その4 段取り命
質問の回答までにはたった1週間しかありませんので、休日出勤や残業はまあ覚悟しておく必要があるでしょう。質問を受け取ったら、まずどの質問を誰がどのようなコンセプトで回答するかということを捌きます。追加調査や集計が必要なものについては速やかに作業に取り掛かります。

その5 何を訊かれるのか?
質問の内容が証券審査ですでに取り上げられたものであればラッキーです。その際の回答を流用すれば良いでしょう。しかし、なかなかそううまくはいかないのが世の常です。

その6 審査官の疑問をしっかり解決させよう
東証による審査は、証券会社審査同様、細かい点を突いてきます。先ほど書いた通り、東証の審査はリスクアプローチ的な観点で、審査官が関心を持ったテーマは何度も何度も繰り返し質問してきます。確実に論点になるだろうと予想していたテーマは証券審査でも十分に議論が尽くされているために意外とすんなり経過する一方、予期していないテーマを深く追及されてたじろぐこともしばしばです。

その7 審査の最終仕上げ
役員面談が終わってから2週間程度すると、社長説明会というイベントがあります。ここまで来れば上場承認はほぼ間違いなしと思ってよいでしょう。社長及び監査役が東証に出向き、審査担当の役員から最後の質問を受けます。非常に緊張するひと時です。